トゥールーズ国立応用科学院 (INSA Toulouse)へ修士課程留学
杉山正和さんは2019年10月にトゥールーズ国立応用科学院 (INSA Toulouse) のMaster Fluids Engineering for Industrial Processesを修了。現在航空業界への就職活動中。
1. 留学の動機は?
留学の動機は2つあります。1つ目は、自分の専門分野の知識を高めること、2つ目は、フランス語をツールとして仕事に役立てたいと思ったからです。現在留学しているトゥールーズという街は、エアバス本社やONERA(仏国立航空宇宙研究所)などがあり航空宇宙産業が盛んな工業の街です。技術的先行性があり、自分の専門分野の本場で勉強したいと強く思ったからです。また、学部時代に交換留学を経験し、英語やフランス語をツールとしながら国際的なエンジニアとして活躍したいと思い、フランスに留学しました。
2. フランス留学生活で一番楽しかったことは ?
フランス留学で一番楽しかったことは、友達と思い切り遊ぶ、遊べることです。フランス人は時々、クールなイメージを持たれることが多いのですが、一度友達になると家族のように接してくれます。講義が終わると、そのままスーパーでお酒を買い公園でピクニック、他愛も無い話で夕暮れまでのんびり楽しむ。バカンスやクリスマスにはお家に招かれてパーティー。フランス人の“中”に入って一緒に遊ぶ、話す、そういった日常が居心地よく、しかし新鮮であり、一番楽しいことだと思います。
3. 留学中の失敗談を教えてください!
失敗してから気をつけていることは2つあります。1つ目は、“すすらない”事です。日本では麺類を食べるときに麺をすすったり、風邪の時に鼻をすすったりしますが、これはフランスでは御法度。食べるときは音を立てず、風邪の時には食事中でも構わず鼻を噛んでください!2つ目は、アパートのお湯切れ問題です。日本のように蛇口をひねるとお湯が出てくる!のですが、アパートによってはお湯の貯水タンクがあり、使いすぎるとお湯がなくなり次の日まで待つことになります。冷水でシャワーを浴びると心が寂しくなります。ご注意ください。
4. フランス人やフランス文化で、「ア!」とおどろいたことは?
フランスでは、結構「あ!」の瞬間があります。フランス人はクールで大雑把ですので、細いことをあまり気にしません。車がボコボコでサイドミラーがなかったりしますが普通に道路を走っています。最初はびっくりします。新幹線の指定席では、自分の席と違うところに座っている人がたくさんいます。ラーメンの話に戻ると、パリ、オペラ近くのラーメン屋さんでは、フランス人はすすることができないのでスープだけ飲んで、どんぶりに麺だけが残っている人をよく見かけます。これは「え?」かもしれません。
5. フランスの生活習慣(または制度)で日本に取り入れたいと思ったもの・ことは?
フランスの生活習慣で日本に取り入れたいことは、フランスの仕事スタイルです。フランスでは、一日7時間、週35時間までしか働かせないという勤務時間の法律があります。大抵の会社はこれをちゃんと守っています。自分、そして家族との時間を大事にしている、大事にできる仕事環境が整っているのだと思います。また、昼休みは2時間くらいのんびりとります。仕事するときはしっかりして休むときはしっかり休む、生産性が高い仕事のスタイルだなぁと感心します。そういう時に新しいアイディアが生まれるのかもしれませんね。
6. 1ヶ月の家賃はいくらぐらいでしたか?住宅補助を申請された場合は、支給された補助金の金額も教えてください。
僕は、寮や1人暮らしではなく、コロカションをしていました。コロカションとは、友達やルームメイトと一緒に同じアパートに住むことです。各々の寝室があり、キッチントイレお風呂、そしてリビングが共同になります。それで、家賃が1人430€/月。ただ、フランスは学生に優しい国なので、住宅補助(CAF)を国から受け取れます。アパートの大きさや家賃によって受けられる額は違うのですが、僕は月に130€もらっていました。ですので、月に300€(4万円程度)を払っていました。トゥールーズの家賃はパリの半額以下であることもお忘れなく!
7. 帰国後、自分でこんなところが変わったと思う部分を教えてください!
帰国後自分が変わったと思うところは、自分の考えを持ち、それを伝えることができるようになったことです。講義などでもグループワークがあると必ず意見を求められます。意見がないと参加していないか興味がないと思われます。必ず自分の意見を持つこと、そして、それを伝えることが求められます。日本にいると考えを持っていても自分から発信するのが難しかったりもします。フランスでの2年間で、よく考え、自信を持って発言することが身についたのかなと思います。
8. 留学を考えている後輩へのアドバイスをぜひ!
僕は、地方大学からフランスの大学院に直接入学しました。ダブルディグリーでも、高学歴でもありません。それでも、学部時代にフランス語に魅了され必死に頑張りました。フランスの公立の大学院等では、選抜試験は日本のような入試ではなく、自分の研究計画書や学部時代の成績と語学能力で評価されるのがほとんどだと思います。フランスは寛容な国です。熱意があれば受け入れてくれます。そこからが大変、成績はとてもシビアにつきますが、それでもやる気があれば必ずやり遂げられます。自分に素直になり、チャレンジしてください!