フランスで博士課程留学または在外研究を希望する方のビザ手続きに関するご案内です。
パスポート・タラン - 研究者ビザ or 学生ビザ ?
2020年12月24日付研究計画法第220-1674号 (loi n°2020-1674 du 24 décembre 2020 de programmation de la recherche (LPR)) の導入により、欧州連合 (EU) または欧州経済地域 (EEA) 外からの外国人の博士課程の学生および研究者がフランスに滞在する際のビザの区分を判断する基準として、その対象者が受け取る毎月の資金総額を用いることとなりました。
下記の図にてご確認ください。
*公的機関における契約博士課程の学生の最低資金額を定める2016年8月29日改正法:
https://www.legifrance.gouv.fr/loda/id/JORFTEXT000033076467/
博士契約の給料の手取り額は、上記のサイトに記載されている金額の22.5%を控除して算出される。
長期滞在ビザ "passeport talent – chercheur"
長期滞在ビザ "passeport talent – chercheur"
"Passeport talent – chercheur" と記載された長期滞在ビザ (VLS) は、修士号レベルの学位取得者がフランスに滞在し、受入れ協定 (convention d'accueil) に基づいて研究活動を行ったり、大学で教鞭を執ったりすることを可能にします。
受入れ協定書 (convention d'accueil) とは?
研究者または博士課程の学生(以下、対象者)に委託される業務の内容と期間を明記した行政文書を指します。また、その文書の中には、対象者が受け取る資金形態、滞在施設、医療保障についても明記されている必要があります。
受入れ協定書 (convention d'accueil) は、受入れ教育機関から対象者宛てに発行されます。対象者はビザを申請する際、居住国の領事当局より受入れ協定書 (convention d'accueil) の査証を受け、手続きを行います。
この手続きは、下記対象者に適用されます。
- フランスの高等教育機関に雇用されている、または正規登録されている研究者・博士課程の学生(博士課程契約、研究による研修のための産業契約CIFREなど)
- 招聘研究者で自国の高等教育機関・研究機関の給与所得者
- 奨学金+補助金の総資金額(手取り)が大学博士契約の給料を上回る研究者・博士課程の学生
受入れ協定書 (convention d'accueil) の雛型はフランス行政機関の公式ウェブサイト よりご参照いただけます。
長期ビザ "passeport talent – chercheur"のメリットは?
- 同行する配偶者および未成年の子供は、簡素化された「同伴家族」手続き の恩恵により、家族再統合の手続きを経ることなくフランスへ入国できます。
- 受入れ協定書に規定された職業活動であれば、フランス国内の事業・競争・消費者・労働・雇用担当地方総局 (Direccte) の事前承認なしでその職務に従事することができます。
- 同行配偶者もフランスで働くことができます。
長期ビザ "passeport talent – chercheur"の申請方法は?
在日フランス大使館領事部ビザセクションに直接申請する形になり、"Etudes en France"の手続きは不要です。
ビザ申請に関する必要書類や手続き方法はフランス・ビザ公式ポータルサイト「France-Visas」にてご確認ください。
研究滞在協定(convention de séjour de recherche)で申請する長期学生ビザ
研究滞在協定(convention de séjour de recherche)で申請する長期学生ビザ
長期滞在学生ビザは、高等教育を受けるために4ヶ月から1年間フランスに滞在することができ、シェンゲン協定加盟国 間を自由に移動することができます。長期滞在学生ビザ (Le visa long séjour valant titre de séjour mention "étudiant"または VLS-TS "étudiant") はフランス国内で更新が可能です。
このビザの有効期限が切れると、県庁にて滞在延長のための在留許可を申請しなければなりません。このビザがあれば、年間964時間、つまり週20時間まで働くことができ、滞在資金を補うことができます。
研究滞在協定 (convention de séjour de recherche) とは?
研究滞在協定 (convention de séjour de recherche) は、外国人研究者または博士課程の学生(以下、対象者)を受け入れるための条件を定めるものであり、月額資金 (奨学金+補助金) の合計が、公法上の博士課程契約の最低純月額に満たない対象者がフランスに滞在する際に必要となる協定です。
この協定は、研究者ビザを申請する際の受入協定書のように領事館ビザセクションの査証してもらう必要はありません。
研究滞在協定 (convention de séjour de recherche) には受入れ環境として、以下の要素が明記されています :
- 一般的な条件:滞在期間、受入研究ユニットの所在地、研究設備、対象者に適用される学内規則、受入機関における安全衛生規則の遵守、休暇取得の条件
- 研究課題、また対象者に託されるその他の活動
- 受入機関の知的財産、科学的誠実性、倫理、守秘義務に関する規則
- 財務条件:補助金の額と支給元、受入施設が提供する上乗せ額、支払い方法
- 保険および賠償責任条件:民事賠償責任保険、労働災害および職業病 (ATMP)、健康保険、本国送還
- 解約および紛争解決の条件
教育機関は、対象者のフランス滞在をサポートする担当者を任命することができます。
研究滞在協定 (convention de séjour de recherche) の雛型を(2022年5月4日付の通達添付書類)ご参照いただけます。
長期学生ビザ (VLS "Etudiant") の申請方法は?
在日フランス大使館領事部ビザセクションへの申請前に、研究滞在協定 (convention de séjour de recherche) を用いてCampus Franceにて"Etudes en France"オンライン手続きを済ませる必要があります。この手続きを経ずにビザセクションへ直接ビザ申請をしても、受理されませんのでご注意ください。
受給する奨学金の種類によっては、"Etudes en France"にて手続き料金や面接の免除対象となる場合があります。
以下の奨学金プログラムの受給者は奨学金受給者のガイドをご参照ください。
- フランス政府給費留学生制度
- エッフェル奨学金
- マジョール奨学金- Excellence Major
- Quai d’Orsay-Entreprises 奨学金
- エラスムス奨学金 - Erasmus + / Erasmus Mundus
- JSPS 日本学術振興会 奨学金
その他の奨学金(トビタテ!留学JAPAN、日本学生支援機構、日本政府による各種奨学金)は免除対象となりません。個人留学の手続きガイドをご参照ください。
ビザ申請に関する必要書類や手続き方法はフランス・ビザ公式ポータルサイト「France-Visas」にてご確認ください。
長期学生ビザ - 私費で留学する博士課程学生の場合
長期学生ビザ - 私費で留学する博士課程学生の場合
私費で博士課程に留学する場合は、長期学生ビザ (VLS "Etudiant") を申請する必要があります。
在日フランス大使館領事部ビザセクションへの申請の前に、教育機関が発行する受入許可書を用いてCampus Franceにて"Etudes en France"オンライン手続きを済ませる必要があります。この手続きを経ずにビザセクションへ直接ビザ申請をしても、受理されませんのでご注意ください。
Etudes en Franceの手続き方法については、個人留学のガイドをご参照ください。
ビザ申請に関する必要書類や手続き方法はフランス・ビザ公式ポータルサイト「France-Visas」にてご確認ください。