大阪大学 涌井萌子さん(2016年夏季セッション参加 - CUEF)
涌井萌子さんは、大阪大学の学部生だった2016年夏にCampus Franceの短期語学留学でCUEF - Université de Grenoble-Alpes に4週間留学し、現在は社会科学高等研究院(EHESS)で博士課程に在籍中です。
大学2回生だった2016年夏、Campus Franceの短期留学で初めてグルノーブルに行ったのが、私にとって初めてのフランスでした。日本では大学入学後すぐからアンスティチュ・フランセ大阪(現 関西日仏学館大阪)に通っていたこともあり、他の留学生に混じって上級クラスに振り分けられました。
語学クラスの先生や日本語を学ぶフランス人の友人たち、グルノーブルやリヨンの街の人々は優しく、コミュニケーションもそれほど難はなかったのですが、「文化財の日 Journées du Patrimoine」の週末に一人でパリを訪れた時に、あまりにも自分のフランス語が伝わらないことに愕然としたことを覚えています。
この挫折経験が私を今、フランスで学位取得を目指す大学院生にしたと言っても過言ではありません。
日常的にフランス語のラジオを聴き、ウェブジャーナルを読み、翌年夏にはアンスティチュ・フランセ東京(現 東京日仏学院)で開講されている短期集中講座に参加し、DELFDALFの語学試験を常に受けるようになりました。
そして今、パリの街で、フランス政府給費奨学生として大学院生をしています。
フランス語が伝わらなくてパンもろくに買えず、地下鉄のドアで右往左往したあの時の悔しさや歯痒さは、指導教授とフランス語で研究計画について話し、CROUSの食堂のレジのおばちゃんとちょっとした冗談を交わし、ふらっと入ったカフェでカウンターの隣の人と、小一時間、日本の働き方の話をしている、今の自分の出発点だったのでしょう。
来なければ分からなかった、来なければ感じられなかった。
フランスに行く意味は、そういった生の経験にあると思います。